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2009年3月 第2号

第2号のご挨拶

先日友人の一人からグリーンウッドニュースの創刊号のHPヴァージョンを見た、とメールを貰い、読んでくれている人がいるんだなと嬉しくなりました。元気付けてくれる友人は大切です。

さて、気温はまだ低いですが気候は既に春の兆しが見られます。夕方も随分と明るくなりましたし、気温は低いのですが日差しは少しづつ元気になっています。春という季節は冬の間寒さに耐えていた木々が芽吹き、花をつける時期ですが、一方出会いと別れの季節でもあります。卒業式や入学(社)式など、グリーンウッドでは新しい自分を発見するためのプロモーションを行っております。是非ご活用下さい。

詳しくは http://www.g-woodclinic.com/ をご覧ください

季節の話題(3月)

空気が乾燥する季節ですので、今月は皮膚の保湿についてお話します。

皮膚は人間の体の一番外側にあって外界の様々な刺激から生体を守るバリアーの働きをしています。その皮膚の中で、最も外側には角質細胞からなる角層と呼ばれる層があります。この層はわずか0.02ミリメートルとサランラップと同じ程度の厚さしかありませんが、この部分の水分が欠乏すると、皮膚に割れ目ができ、ますます水分が蒸発してしまいます。

割れ目の入った皮膚は様々なアレルゲンの侵入を容易にするため、皮膚の炎症がおきやすくなります。従ってこの部分を適切な状態に保つことが皮膚の健康にとって重要であることがお分かりになるかと思います。

そこで生体では3つの成分が角質細胞に潤いを与え、「殻」としての機能を高める働きをしています。一つ目は皮膚のあぶらである皮脂です。皮脂は皮脂腺という細胞で作られます。そしてそれが皮膚表面に皮脂膜という保護膜を形成します。そして角質層には天然保湿因子(natural moisturizing factor: NMF)と呼ばれる保湿成分があります。これには色々な種類がありますが、これらの物質は水を保持する能力があり、角質細胞の潤いを維持します。さらに角質細胞と細胞の隙間には角質細胞間脂質と呼ばれる物質があります。

この物質は丁度タイルとタイルの隙間を埋める「目地」のような役割です。最近セラミドという言葉をよく聞きますが、このセラミドこそ角質細胞間脂質です。セラミドには細胞と細胞の隙間を埋めて水分の蒸発を抑える作用と、セラミド自身が水を抱え込むことによる保湿作用の二つの作用で皮膚全体の保湿を行っています。

以上のように皮膚は皮脂膜、天然保湿因子、角質細胞間脂質という3つのシステムで潤いを保っています。これらのシステムが破たんすると皮脂欠乏症(右の写真)になります。皮脂欠乏状態は炎症を起こしやすく、皮膚の痒みを引き起こし皮脂欠乏性湿疹へと悪化することがあります。
これを予防するためには次のことに心がけましょう。

  • 1)ゴシゴシ洗わない
  • 2)入浴後すぐ保湿剤を塗る
  • 3)部屋の湿度を保つ
  • 4)掻かない
  • 5)温まり過ぎない
  • 6)辛いもの、アルコールを控える

皮膚は清潔に保つことが大切ですが、だからといってナイロンのタオルなどで力を入れてこすると皮膚の脂が必要以上に落とされてしまうのみならず、角層を傷つけてしまうことになります。また皮膚が温まると痒くなり、かいてしまいますので、入浴の温度だけでなく辛いもの、アルコールにも気をつけなくてはなりません。
これを予防するためには次のことに心がけましょう。

皮膚の水分を保持する能力はある程度遺伝的に決定されてしまいますが、それに加えて年齢と共に減少していきます。また保湿能と食生活はほとんど関係ありません。ですから皮膚に潤いをもたせようと油っこい食事をする必要はありませんし、ましてヒアルロン酸やセラミドなどをサプリメントとして服用してもまったく効果がありません(コラーゲンも同じです)。まず環境を整え、そして皮膚表面に保湿剤を塗ることが一番効果があります。潤いがなくなると細胞の隙間から大切なものが失われてしまいます。それは人生と似ているかも知れませんね。人生と皮膚には常に潤いが必要です。

身近な健康知識

第2回 皮膚の構造

今まで、そしてこれからもこのグリーンウッドクリニックニュースでは色々と皮膚のことについてお話をさせていただくのですが、その際に知っておいて頂きたい皮膚の構造についてお話いたします。

まず、皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3つの部分に分けることが出来ます。このうち皮膚の一番表面にあるのが表皮です。表皮は更に上から角(質)層、顆粒層、有棘(ゆうきょく)層、そして基底層に分けられます。

表皮の細胞は基底層で作られます。ここには基底細胞と呼ばれる細胞があり、これが細胞分裂して上へ押し上げられていきます。基底層で約13日かけて分裂した細胞が顆粒層に到達するまで約14日かかります。そして角層細胞に変化して、最終的に脱落するまで更に14日かかります。皮膚はこのように常に生え変わりますがこれを皮膚のターンオーバーといいます。

ターンオーバーの時間は年齢と共に延長していきます。お年寄りの皮膚は色がくすんで水分が少ないですが、これはターンオーバーが延長していることも関係しています。基底層にはメラノサイトという黒色色素(メラニン)を作る細胞が散在しています。

この細胞は光などの刺激を受けると生体を紫外線から守るためにメラニンを分泌します。このメラニンはメラノサイトから有棘細胞に、さらに有棘細胞から顆粒細胞に直接「手渡し」されます。「手渡し」と表現したのはメラノサイトや有棘細胞が丁度指を広げたようにメラニンを渡す細胞に伸びているからで、これがとげのように見えるので「有棘(とげという字)細胞」と名前がつけられたからです。

表皮基底層の下には真皮があります。ここには免疫を担当する細胞などがいますが、多くはコラーゲンというおなじみのたんぱく質であり、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのムコ糖類という物質(基質)からできています。
コラーゲンは真皮にある線維芽細胞という細胞が分泌して作られます。けがをして皮膚が傷つくとこの線維芽細胞が活躍してコラーゲンを分泌し皮膚を修復します。

この他に皮膚には皮下組織や毛根、皮脂腺といった「付属器」が含まれます。これらについてはまた回を改めたいと思います。皮膚が常に生え変わっている、ということを覚えておいて下さい。

コラム「美」とは何か?

第2回 美しさの要件1:普遍的な美

今回は「美しい」とはどのようなことなのか考えてみます。美しさの基準は時代や文化などで変遷しますが、普遍的な美しさというものは存在するのでしょうか? ここに黄金比という比率があります。具体的には縦横の比率が約5:8(厳密には1:(1+√5) /2)の比率のことですが、これは古今東西で最もバランスの良い比率であると考えられています。

例えばこの二枚の絵ですが左の絵の女性の方が安定感があると思いませんか?実は左の絵には黄金比が隠されているのです。 絵全体の縦横比もそうですが、向かって左の燭台を含めた椅子と女性の頭部から服の裾までが一つの黄金比を形成しています。更に椅子の上の女性の全身も縦横比が黄金比になっているのです。
他にもパリの凱旋門やミロのヴィーナスなど芸術、建築の世界では黄金比が多用されています。

黄金比は植物の葉が茎から枝分かれする位置や巻貝のらせん構造など自然界にもよく見られます。また黄金比とは別に白銀比という比もあります。この名前はあまり知られていませんが、実は非常に身近な比率です。

洋紙のサイズであるA版およびB版の比率がそうです。この比率は半分に折ってもその縦横比が折る前の比率と変わらないので、紙の規格になったのだと思います。A版、B版以外の規格の紙を手にすると妙な違和感があるのはその為でしょう。

顔では1954年に歯科医であるロバートリケッツが提唱したエステティックライン(Eライン)というものがあります。これは鼻の先端と顎の先端を結んだ線で、唇がこの線のやや内側にあるのが理想的美人と言われています。日本成人矯正歯科学会では毎年Eラインビューティフル大賞を授与しています。

歴代の受賞者は順にMIE、池上季実子、藤谷美紀、清水美沙、佐藤藍子、天海祐希、宮沢りえ、黒木瞳、米倉涼子、水野真紀、白石美帆、上戸彩、優香、釈由美子(敬称略)です。

こうやって歴代の受賞者を見ていくと確かに美人の共通要素が見えてくるような気がします。もっともそれは単なる審査員の好みなのかも知れませんが、、、皆さんはどう感じられましたか?

緑の森から

さて、このたびグリーンウッドではペットボトルのキャップを回収し、発展途上国の子供達にワクチン購入する「キャップの貯金箱」運動に参加することになりました。普段何気なく捨てているペットボトルですが、これをリサイクル業者に売却し、その代金でアフリカやアジアの子供たちにワクチンを寄付する運動です。800個のキャップで約20円になります。そしてこれはポリオ(小児マヒ)のワクチンひとり分になります。

ポリオは罹患するとマヒが残る可能性が高い病気であり、ワクチンで予防することが出来ます。わが国では当たり前のワクチンですが、発展途上国では経済的な理由からまだ完全に普及しているわけではありません。
800個という数は一人の人間の努力では集めることが困難な数ですが、少しでも多くの方々にご協力いただき、一人でも多くの子供を救いたいと考えています。また800個のキャップを処理(燃焼)すると約6.3kgの炭酸ガスが発生します。リサイクルすることによって地球温暖化の防止にも役立ちます。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。グリーンウッド受付で回収いたします。

  • 形成外科・皮膚科・アレルギー科・美容外科
  • グリーンウッドスキンクリニック立川
  • 青木 律:医学博士 形成外科学会認定専門医
  • 青木恵理:医学博士 皮膚科学会認定専門医/アレルギー専門医