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Dr.律の10ステップ美容解説
ヒアルロン酸について

ヒアルロン酸とは何か?

Hyaluronic acid

皮膚は表皮と真皮、さらに皮下組織という構造で成り立っています。

このうち真皮は90%を占める膠原線維(こうげんせんい)すなわちコラーゲンや弾力線維(エラスチン)、細網線維(レチクリン)のような線維と線維芽細胞などの細胞成分、そして線維と細胞の隙間を埋める基質から成り立っています。

ヒアルロン酸は真皮の基質の代表的物質です。

ヒアルロン酸は皮膚で何をしているのか?

ヒアルロン酸などの基質は水との親和性が非常に強く、皮膚の水分量の調整や水溶性物質の組織への浸透、拡散に重要な役割を果たしています。

数ある基質成分の中でもヒアルロン酸は水の保持能力がとても高く、1g のヒアルロン酸は 5000g から 6000g(5〜6L)の水を吸着するとのデータがあります。

またヒアルロン酸は粘着性も高いので、皮膚の可塑性に関与し、侵入した異物の拡散の阻止に役立っていると考えられています。

ヒアルロン酸注射はどのような効果があるか?

ヒアルロン酸やコラーゲンは皮膚(真皮)の構成成分であることから安全性の高い充填物(フィラー)であると考えられています。そこでこれらの物質を皮膚の中や下に注入することによってしわやにきびあとのようなくぼみを改善することが出来ます。

  • Before:術前

    Before:術前

  • After:術後

    After:術後

また鼻や顎、くちびるなどに注入してその部分のボリュームを出し、形を整える目的で使用されることもあります。

皮下(皮内)に注入されたヒアルロン酸は水を吸収しつつ皮膚と馴染み、一定期間体積の増大に貢献します。そして約半年から1年の間に分解されてしまいます。

どのような状態がヒアルロン酸注射で治療できるか?

ヒアルロン酸による治療が効果的なものには豊齢線(鼻の横のしわ)、眼の下のくぼみ、鼻や顎、唇の増大(オーグメンテーション)などがあります。

また目じりのしわ、おでこのしわなどにも効果がありますが、この場合はヒアルロン酸単独よりボトックスとの併用療法が効果的です。(ボトックスの項目参照

コラーゲンとの違いは?

コラーゲン製剤の原料は多くがウシであり、他にブタやヒトというような種類があります。ウシやブタのコラーゲンはヒトのコラーゲンと若干構造が異なるため、アレルギーの可能性が約5%程度あると言われています。従って事前に腕などに少量を注射してアレルギーテストを行っておく必要があります。

ヒト由来のコラーゲンではこのような検査は必要ありません。そしてヒトを含んだ動物由来の原料を使用している場合には、病原菌の混入のリスクが問題になります。大手のメーカーが販売しているコラーゲン製剤についてはほとんどこのリスクを心配する必要がありませんが、現在我々が知らない病気(もしそのような病気があると仮定したらの話ですが)に対する感染のリスクを完全に排除することはできません。

一方ヒアルロン酸製剤にもいくつかありますが、当院で使用しているヒアルロン酸製剤はいずれも動物由来の原料を使用しておらず、植物のアミノ酸原料としていますので、未知の病原体も含めてこのような心配はいりません。またヒアルロン酸製剤によるアレルギーの発現率は1%未満(0.5%前後)と言われており、コラーゲンよりもアレルギーのリスクが少ないと報告されています。

ヒアルロン酸製剤のメリット、デメリット?

ヒアルロン酸製剤はコラーゲン製剤に比べてアレルギーのリスクが低く、また100%非動物由来の製剤ならば、狂牛病なども含めた動物由来の病気にかかるリスクも理論上ゼロであるというメリットがあります。また単純には比較できませんが、体内での持続期間もコラーゲンより長めです。

一方一般的なデメリットとしては、コラーゲンに比べて硬いので、眼の周りのような薄い皮膚のところではコラーゲン製剤が好まれる場合もあります。しかしヒアルロン酸製剤と言っても色々あります。当院では眼の周りにはプリベールという非常に柔らかい特別なヒアルロン酸製剤をお勧めしております。

注射の痛みは?

こ注射の時に痛みはあります。しかしながら局所麻酔の注射よりも痛みが少ないので、普通は治療部位に直接麻酔注射をすることはありません。麻酔注射を治療部位にしてしまうと麻酔薬の分だけ腫れるので正確な治療ができなくなってしまうということも理由のひとつです。

しかしながら少しでも痛みを和らげたいとご希望の方には二つの方法をご提案します。ひとつは麻酔のクリーム、ないしテープを注射30分前に貼っておく方法です。これを行いますと針が皮膚を通る時の痛みが緩和されます。

また鼻先や唇などに注射をご希望の場合、頬の中央あたりの神経の出口の所に極少量の麻酔を注射すると注射した部位以外に広範囲に麻酔をかけることができます。これを神経ブロックといいますが、この注射を受けていただくと(麻酔注射は一瞬の痛みがありますが)、ヒアルロン酸治療が痛みなしにできます。

治療当日の注意事項?

注射を受けた部位は多少の赤みがでます。これは注入された物質に対して生体が警戒のパトロール隊を出動させるためです。しかしパトロール隊は注入された物質が自分たちの仲間であると認識すると撤退して、赤みが引いていきます。通常は48時間以内に撤退が完了します。多くの方は治療翌日には赤みが引かれるようです。

しかし治療日にスポーツや、長時間の入浴(サウナ含む)、飲酒など体が暖まるような行為をしますと血のめぐりがよくなりますからこの赤みが強く出たり、長引いたりします。

また注射後止血を確認してからお帰りいただきますが、一旦止まった出血が再度出血するリスクがありますので、これらの行為はお控えください。また治療当日は治療部位にファンデーションを塗るなどのお化粧はお控えください。

ヒアルロン酸注射の副作用は?

アレルギーが1000人中5名前後発生する可能性があります。アレルギーになると、警戒のために出動したパトロール隊が、ヒアルロン酸を敵と認識し、応援部隊を呼び、応援部隊とヒアルロン酸との戦いが始まります。

臨床的には注射部位の赤みがなかなか引かないといった症状のほか、稀にはその部分が盛り上がってきたりします。また注射した部位の皮下出血(紫色の斑点)ができることがあります。これは眼のまわりなどで時として起こることがあります。紫色の斑点は通常2週間程度で消失します。

また眉間の縦じわに注射した時にヒアルロン酸が血管を塞いでしまい、眉間の皮膚が壊死してしまったという報告と、眼の動脈を塞いでしまった結果失明してしまったという報告があります。これらは極めてまれな副作用の報告例です。眼の下のくぼみに注射している限りはまず起こり得ませんが、眼の上のくぼみや眉間のしわを2本同時に治療するような場合には主治医から十分説明を受けることをお勧めいたします。

ヒアルロン酸注射はどのような方に向いているか?

ヒアルロン酸注射は極めて小さいリスクと肉体的な負担で、確実な効果が得られる方法です。ダウンタイムもほとんどないのでほとんどの方にお勧めできます。特に、豊齢線や眼の下のくぼみの治療がご希望で、結果をすぐに得たい方はこの方法が第一選択であると思います。

一方血液を固まりにくくするお薬を飲んでおられる方(バッファリンやワーファリンなど)は出血斑ができますので、事前にこれらのお薬を休薬できるか、主治医に確認を取っていただく必要があります。また皮膚全体のしわやたるみの改善をご希望の場合にはサーマクールフォトフェイシャルなどもあります。

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