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2010年11月 第3号

第3号のご挨拶:2周年にあたって

お陰様をもちまして、グリーンウッドは2010年11月11日をもちまして2周年を迎えることが出来ました。多くの患者様にご支持いただ いておりますことを、厚く感謝申し上げます。

この2年間で感じましたことは、皆様の皮膚に対する関心が非常に強いということであります。皮膚は生命の維持には直接関与しない臓器ですが、体の表面にあり、健康であるか不健康であるか、または美しいか美しくないかということが毎日自分の目で確認できる臓器でもあります。
些細な変化でも病気ではないかと大変気になるのが、皮膚の特徴です。そんな中で、今まではなかなか病院で気軽に医師に相談できる環境になかった、自分の悩みを始めて聞いてもらった、と多くの方におっしゃっていただいたことは、私といたしましては望外の喜びであります。

グリーンウッドは体の表面のトラブルは全て対応する、ということをモットーにしております。具体的には従来の皮膚科の枠組みを超えて、禁煙外来やメイクアップ®外来などを設置しております。下肢静脈瘤やむずむず足症候群(下肢静止不能症候群)、眼瞼けいれん、リストカット瘢痕など今までどこで相談してよかったのか分からなかったような病気でも、皮膚表面というキーワードを含んでいれば、グリーンウッドで対応してまいりました。

また最新の医療も我々の目指すところです。私は開業以来この2年間で英語の教科書1編、日本語の教科書2編、日本語論文 3編、日本語学術雑誌編集1編を執筆し、国際学会シンポジスト3回、国内学会シンポジスト2回ほか多数の学会発表も行って参りました。世界の最先端に絶えず離されないようにするため、努力してきたつもりです。また立川のこの地から世界に情報を発信できたこともとても誇りに思っております。

手術件数(予定手術のみ)は初年度251件、2年度445件であり、皮膚腫瘍摘出術、眼瞼下垂根治術、陥入爪根治術、静脈瘤硬化療法の4手術で9割近くを占めております。これら4手術の陰に隠れてしまいがちですが、その他の様々な手術もこの1年間で50件以上行いました。

美容関係は、開業当初からの設備(Qスイッチレーザー《シミ取り》、フォトフェイシャル《美顔》、脱毛レーザー、サーマクール《ラジオ波シワ取り》)に加えて、フラクセル《リサーフェシングレーザー》、ゼルティック《痩身》が仲間入りし、サーマクールも最新鋭機種サーマクールCPTにアップグレードしました。

更に、厚生労働省が6月に認可したばかりの国内最新式の色素レーザーVビームを導入し、赤あざや赤ら顔の治療にも対応できるようになりました。小さなお子さんの場合には日帰りで全身麻酔レーザーが受けられます。院内滞在時間は1〜2時間ですので、ご本人だけでなくご家族の負担も大変少なくなります。赤あざについては健康保険の適応です。

また、自転車でお越しの患者様には今までご不便をおかけしておりましたが、南側敷地に専用の駐輪場も設置し、病院玄関から駐輪場までの誘導路も整備いたしました。これによって自動車は常時四台駐車できるようになりました。

グリーンウッドは決して完成しません。いつまでもその枝を伸ばし、葉を茂らせます。その為には常に学会報告や論文執筆などの努力を怠りませんし、また大学(日本医科大学、早稲田大学)での研究と教育も続けてまいります。そしてその繁る枝葉で、皆様を優しく包み、皮膚の健康と美容をご提供できればと思っております。そして皆様方の温かい日差しを頂戴できますればと願っております。

以上、二年間まだまだ小さな若葉にすぎないグリーンウッドを応援して下さいました多くの方々への御礼と、この二年間の活動報告、並びに今後の決意をこの場にてご挨拶させていただきました。
有難うございます。引き続き宜しくお願い申し上げます。

身近な健康知識

第3回 タバコの害

先日タバコが値上げされたので、日本中でこれを機会に禁煙を、と思われた方が多かったようです。グリーンウッドの禁煙外来もお陰様で大忙しでした。で、今日はどうしてタバコを吸ってはいけないか、についてのお話です。愛煙家にとっては「煙たい」お話です。

タバコがなぜよくないか、その第一は体に毒だからです。タバコの害としては肺がんが有名ですが、実はそれは氷山の一角に過ぎません。タバコを吸う事によってリスクが高まる病気としては肺以外のがん(口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、膵臓、腎臓、膀胱、子宮)や脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、胃潰瘍、股関節骨折、骨粗鬆症、不妊、乳幼児突然死症候群など、これ以外にもたくさんあって実に多彩です。

英国の医者はその健康保険制度から地域を移動しても捕捉が可能なため生存率の調査には絶好のモデルですが、70歳における生存率は非喫煙者が81%であるのに対して喫煙者は58%に過ぎません。要するにタバコを吸っていると70歳までに半分近くは死んでしまっているという事です。

タバコを吸ってはいけない理由のその2は他人に迷惑をかけるからです。タバコの煙はタバコを吸っている本人よりもその周囲の人に害を与えます。いわゆる受動喫煙というやつです。
タバコには一応フィルターというのが付いていますのが、タバコの先端には付いていません。従って吸っている本人よりも周囲の人の方が毒を直接吸ってしまう事になります。研究では5m先にいる人も喫煙者と同じぐらいの毒を吸入してしまうのだそうです。
更に妊婦さんが喫煙するとその害は可哀そうなおなかの赤ちゃんにまで及びます。低出生体重は周産期の胎児死亡リスクを明らかに増大させますし、母親の喫煙と乳幼児突然死症候群の発症は非常に高い相関があります。

更に喫煙によって国民全体が受ける医療費が増大し、試算では国民が全員禁煙すれば2兆円以上の政府財政支出が減少するといわれています。

タバコを吸ってはいけない第3の理由は、もしあなたが喫煙者なら、あなたが騙されているからです。昔、英国は自分たちが飲むお茶の支払い代金として中国にアヘンを売りつけました。そして中国政府(清国)がアヘンの輸入を禁止するとけしからんといって戦争を起こし、結果的に香港を奪い取ってしまいました。今から思えば紳士の国といわれている英国も随分とひどいことをしたものですが、今これと同じことが行われているのです。

よく大麻はタバコより害が少ないので、大麻の吸引を合法化すべきだという訳のわからない人がいますが、逆に言うと大麻より有害で依存性の強いタバコが合法的に販売されている方がおかしいのです。
タバコを吸うと芸術的な仕事が出来る、とかストレスの解消になるといって、タバコをやめようとしない人がいますが、これも逆です。タバコを吸う事によってストレスが解消されるのではなく、タバコが切れることによって禁断症状が起きているのです。
これはもちろんタバコを吸って血液中のニコチン濃度が高くなれば脳内の状態は「正常」すなわち非喫煙者の脳と同じレベルになります。決してタバコを吸う事が脳の作用や機能を高めたりすることはないのです。
タバコを吸わなければ脳の活動はもっとさかんになり、もっと素晴らしい芸術作品を生むことが出来るのです。

ではどうやったらタバコをやめることが出来るのでしょうか? もちろん禁煙外来で禁煙補助薬を使用することも一つの方法ではあるのですが、最大のポイントはご本人の自覚です。あなた自身が志し半ばで倒れてもいいのか。あなたの家族に迷惑をかけていないか。他人の利益のために自分の健康や人生が犠牲になっていてもいいのか。これらのことをよく考えてみてください。そして禁煙を決意したらやるべきことが3つあります。

一つは家の灰皿とライターをきっぱり処分すること。来客用とか変な理由をつけないで全て処分して下さい。二つ目は自分が禁煙したことをご家族や周りの人に高らかに宣言して下さい。これでもう後戻りはできません。そして少しの間でも禁煙が出来たなら、今度はタバコを吸っている人を観察してみてください。そしてタバコを吸っている人を見てまだ羨ましいようならまだ駄目です。タバコを吸っている人が、こそこそと喫煙所で寄り添っている姿を見て、見っともないとか哀れだと思えるようになれば、禁煙は成功です! 
これは認知の転換といって、喫煙者を非喫煙者の立場から見られるようになったということを意味するからです。

もしこのコラムを読まれたあなたが、喫煙者なら、今日から禁煙をされることを強くお奨めします。あなたご自身のためだけでなく、あなたの愛するご家族のために、禁煙しませんか。もし私たちが少しでもお力になれるのでしたら、是非ご相談下さい。

コラム「美」とは何か?

第3回 美しさの要件2:左右対称的

前回は美しさの用件として黄金比やEラインというものについてお話ししました。今回は左右対称についてです。

左右対称というのは古来、特に建築の世界では絶対的な美の基準でした。エジプトのピラミッドやインドのタジマハールなどは見事な左右対称形ですし、わが国でも殆どの寺院建築や城郭は左右対称です。

生物の世界でも左右対称であることは大切で、例えば燕では尾が左右対称なオスツバメはそうでないオスツバメに比べて早くにメスツバメをつがいになることが出来る、という研究がありますし、またヒトでもバストの形が左右対称であるほど子宝に恵まれているという調査もあります。

緑の森から

2年の月日は本当にあっという間でした。色々な方に助けていただいてここまでこれたのだなあ、とつくづく思い、感謝感謝感謝です。

そして皆様にもう一つご報告したいことがあります。
グリーンウッドではペットボトルのキャップを回収しておりますが、この2年間で回収されたペットボトルの個数はなんと34755個(8月までの集計)になりました。

キャップを捨てずに貯めるという行為はとても小さな行為ですが、これも毎日積み重ねるととても大きな力になります。これまでに約43人分のポリオの予防注射を購入できた計算になります。これまでご協力いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。

そして「私たち」のその仕事に対して事務局が表彰してくれました。
先進文明を享受している私たちですが、この瞬間にも同じ地球上で病や飢えに苦しんでいる人たちがいるという事を忘れてはならないと思います。自分の幸せと健康を少しでも多くの人と分かち合いたいと思います。趣旨にご賛同いただけましたら、こちらも是非ご協力頂ければと存じます。

  • 形成外科・皮膚科・アレルギー科・美容外科
  • グリーンウッドスキンクリニック立川
  • 青木 律:医学博士 形成外科学会認定専門医
  • 青木恵理:医学博士 皮膚科学会認定専門医/アレルギー専門医