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小児日帰り全身麻酔レーザーについて

小児日帰り全身麻酔レーザー

血管腫は生まれつき、皮膚の一部が赤くなっている病気です。このうち成長とともに薄く消えていく血管腫もありますが、多くはそのまま成人後も残ります。血管腫のうち、単純性血管腫、いちご状血管腫に対しては色素レーザー治療が有効です。

また太田母斑は顔面にできる青あざです。子供のうちはそれほど気にならなくても、思春期ぐらいから色が濃くなっていきます。この青あざに対してはQスイッチレーザーが有効です。

レーザー治療というのは光による治療ですので、光エネルギーが到達しない深部の病変の治療はできません。したがってまだ皮膚が薄い小児期に治療を開始することが大切です。またあざや血管腫は体の成長とともに大きくなりますので、まだ体が小さいうちから治療を始めた方が肉体的負担が少ないです。

院長は日本医科大学付属病院在職中に小児のあざ、血管腫治療に精力的に取り組んでまいりました。
グリーンウッドでは開業以来青あざ、茶あざの治療を行っていましたが、赤あざに対応するレーザーがありませんでした。。
しかし、2010年7月に最新の赤あざ用のレーザー (Vbeam) が厚生労働省に認可されましたので、早速10月にそれを導入しました。

小児のあざ、血管腫の治療における最大の問題は、患者さんの安静です。大人であれば照射に伴う痛みを我慢することができますが、小さなお子さんでは無理です。レーザーは眼に直接光が入ると大変危険ですので患者さんがじっとしていることが必要なので。

院長は1997年から日本医科大学付属病院で全身麻酔下にレーザー照射を開始しました。
当時レーザー照射時に全身麻酔をかけることは非常識と考える風潮がありましたが、麻酔法の進歩により、全身麻酔をかけるということの危険性がはるかに少なく、むしろ無麻酔で押さえつけてレーザー照射することの危険性や患者さんやご家族の精神的、肉体的負担を考えれば全身麻酔が有用であろうとの判断でした。
最初は2泊3日の入院を必要としていましたが、麻酔科の先生のご協力とご努力の成果で、2004年ごろからは殆どの患者さんが日帰りで治療できるようになりました。

2011年1月より、日本医科大学麻酔科学教室坂本主任教授のご支援で、グリーンウッドでも小さなお子様のレーザー治療を全身麻酔をかけることによって安全に行うことができるようになりました。2012年1月現在約40名の患者さんが治療をお受けになっています。

小児全身麻酔レーザーについてのよくあるご質問

  • 全身麻酔は毎日行っていますか?

    • 2011年4月までは第2土曜日です。それ以降は原則的に第1土曜日です。当面月1回の治療日になりますのでご了承ください。全身麻酔日当日に初診いただきましても治療できませんので、予め診察をお受けになってください。
    • 別の病院で診察をお受けになり、主治医の先生と、当院との間で打ち合わせが済んでいる場合はその限りではありません。
  • 何歳から治療できますか?

    • 全身麻酔を安全にかけるためには、生後3か月以降、体重6kg以上の両方を満たすことがひとつの目安です。
    • また検診で心雑音や発育異常などが指摘されていないかどうかも大切な判断材料です。しかし、ごく小さな病変であれば生後すぐに無麻酔でレーザー照射する場合もあります。Q11参照
    • 初診されてすぐに全身麻酔をかけるわけではありませんので、生まれつきのあざがあれば、なるべく早期に受診いただき、レーザー照射時期を見極めましょう。
  • 術前検査は必要ですか?

    • 特に発育に問題がなく、異常を指摘されていない場合は、別途指示がある場合を除いて術前の採血、心電図、X線は不要です。
  • 時間はどのくらいかかりますか?

    • レーザー治療は照射面積によって時間が異なります。10cm×10cmの病変を照射するのに必要な時間は3〜4分です。多くの症例で麻酔導入から覚醒まで20分から30分程度で終わります。
  • 麻酔終了後どのくらいで帰宅できますか?

    • 麻酔が終了したらレーザー室から回復室に移動していただきます。回復室は個室ですのでご家族の方も気兼ねなく付き添いが可能です。麻酔終了直後は興奮期にあるため小さなお子様は泣かれることが多いですが、30分以内に落ち着かれます。
    • 帰宅が可能かどうかはまず受け持ち医が診察をして、飲水テスト、歩行テスト(年齢による)などを行い覚醒の程度を確認します。最終的には麻酔科医の診察をお受けになり、帰宅をしていただきます。
    • 麻酔時間、ご自宅までの距離、帰宅方法などにより多少変わりますが、一般的には麻酔時間が30分程度の場合、覚醒後30分から1時間で帰宅することができます。年齢が低いほど早くに帰宅できる傾向があります(麻酔が抜けやすいため)。
  • 治療費はどのくらいかかりますか?

    • 赤あざ、青あざに対しては健康保険が適応されます。小さなお子様の場合、お住まいの自治体から助成があれば、適応されます(ただし、都道府県や市町村をまたぐ場合、立川市の医療機関でその助成が適応されるかどうかは予めご確認ください)。
    • 助成が適応されず、健康保険の3割負担の場合、3歳児の10cm2の単純性血管腫を治療した場合の自己負担額は約2万5千円です(助成が適応される場合は、普段風邪などで小児科を受診した場合の自己負担額が0円の場合はレーザー照射しても0円ということになります)。
  • 治療は1回で終わりますか?

    • 血管腫や太田母斑の場合、1回のレーザー照射で治癒することは殆どありません。その場合は3か月おきにレーザー照射を繰り返すことになります。3か月期間を空ければ、レーザーを反復照射しても皮膚に対するダメージは回復しますし、全身麻酔の影響はほとんど心配ありません。
  • レーザー照射前に気を付けることはありますか?

    • レーザー照射の日程が決まったら、予防接種の日程にご注意ください。ポリオなどの生ワクチンは接種後4週間、インフルエンザなどの不活化ワクチンは接種後2週間たたないと全身麻酔をお受けいただけません。
    • またレーザー当日は予定時刻の6時間前から食事はできません。また2時間前から水も飲むことができません。予定時間の6時間前から2時間前までの4時間は水、お茶は最大合計200mlまで飲むことができます。ミルク、ジュースなどは飲めませんのでご注意ください。
    • 年齢によって多少の違いがありますので詳細は受診して個別に指示をお受けください。
  • 帰宅後気を付けることはありますか?

    • レーザー照射当日は入浴はお控えください。レーザー治療は午前中に行います。昼食については帰宅時に個別にご説明いたしますが、帰宅後まず水を飲んでいただき、むせたりはいたりしないことを確認してから少しずつ食べさせてあげてください。昼食は帰宅途中にとらないようにしてください。夕食は普段通り食べさせてください。
  • 小さな子供に全身麻酔をかけて危険はありませんか?

    • 危険を冒してまでレーザー照射を行うことは致しません。全身麻酔施行に当たっては全身状態、家族歴、レーザー照射時間、ご自宅の場所など様々な情報を総合的に判断して安全性が担保されたことを確認の上治療を行います。
    • 全身麻酔が可能と判断された場合の危険性は極めて低く、むしろ病院に来ていただくまでの途中で交通事故にあう危険性の方が確率的に高いと考えられます。また折角ご予約いただいても、レーザー当日に風邪をひいて熱があったり、鼻水や痰などで気道確保に懸念が生じるような場合は、医師の判断で治療を行わない場合もあります。
    • 通常麻酔は日本麻酔科学会認定麻酔指導医が行います。(麻酔科医には日本麻酔科学会が認定した麻酔科認定医、麻酔科専門医、そして麻酔科指導医の資格があり指導医は最高位の資格です)もちろんレーザー照射を行うのは日本形成外科学会認定形成外科専門医または日本皮膚科学会皮膚科専門医です。
    • また吸入麻酔薬は脂肪に吸収されるので、脂肪の絶対量が少ない小さなお子さんの方が麻酔の覚めがよく、また病変も成長する前の方が面積が小さいので麻酔時間が短くて済みます。皮膚が薄い小児の方がレーザーの治療効果も高いので、安全性が確認され次第、なるべく早期にレーザー治療を開始する方がよいと考えます。
  • 小児科でいちご状血管腫と診断され「いずれ小さくなるので様子を見た方がいい」と言われました。レーザー治療は必要でしょうか?

    • いちご状血管腫は成長に応じて血管腫が消える、と言われてきました。しかしながら隆起してしまった血管腫は伸展してしまっているので、血管腫がしぼむとしわしわの皮膚になってしまいます。
    • 1年半後

      1年半後

    • 初診時

      初診時

    • 右の写真の左側は1歳2か月の初診時のいちご状血管腫です。右はその1年半後ですが、確かに色は薄くなっていますが、皮膚の性状は周囲皮膚と明らかに異なりこれでは形成外科的にはたとえ赤みが消えたとしても血管腫が消えたとか治癒したとはいうことができません。
    • いちご状血管腫はいずれ小さくなるのでレーザー治療しても意味がない、という科学論文が提出され議論を呼んだことがあります。これはレーザー照射によるやけどなどのリスクが、レーザーによる治療効果を上回るというのがその根拠です。
    • しかしこの論文で検討されているのは古いタイプの色素レーザーであり、現在当院で使用されているレーザーとは異なります。また治療の対象とした血管腫のステージが検討されていません。
    • いかなるレーザーであろうとすでに隆起してしまったいちご状血管腫に対しては効果が少ないであろうことは当然です。
    • いちご状血管腫は生後半年から1年ごろに急速に増大する傾向があります。できればこの時期より前にレーザー照射を開始して血管腫の隆起を抑え込む必要があると考えています。
    • 照射前

      照射前

    • 照射後

      照射後

    • 左の写真は生後1か月で(無麻酔で)レーザー照射を施行した症例です。1回の照射でほぼ跡形もなく治癒しました。
    • ですから我々はなるべく早期に治療を開始することをお勧めしております。