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Dr.律の10ステップ美容解説
シミ取りレーザー(Qスイッチレーザー)について

しみにはどのような種類があるか?

Q-switched laser

「しみ」というのはあくまでも一般的な名前で「イボ」とか「ホクロ」というような呼び方と同じです。しかし一口に「しみ」と言っても医学的には様々な病態を含みます。

まず一番多いのは老人性色素斑(日光黒子)でしょう。これは日焼け(紫外線)が原因でできる茶色からこげ茶色の境界がはっきりした色素斑です。こめかみから頬にできることが多く、形、大きさは様々です。

また老人性色素斑が平坦なのに対して少し盛り上がってざらざらしているものもあります。これは脂漏性角化症といいます。老人性色素斑と合併していることも多いです。これらのしみはレーザーで治療できます。

一方30代以上の女性の頬骨の上などに左右対称性にできる色素斑は肝斑である可能性が高いです。妊娠や経口避妊薬などによって増悪するなどホルモンとの関係が考えられています。肝斑は飲み薬と付け薬で治療し、レーザーは照射しません。

さらにしみの中にはまれではありますが悪性のものもあります。ほとんどの場合視診やデルモスコープなどで診断が可能ですので皮膚腫瘍の経験が豊富な医師による診察が重要です。

しみはなぜできるか?

人間の体にはいくつかの色素がありますがその中でメラニンという黒い色素があります。日本人の瞳や髪の毛が黒いのはこの色素を含んでいるからです。

この色素はメラノサイトという細胞が作りますが、紫外線はメラノサイトを刺激してメラニンを作ります。これは本来紫外線という有害な光が皮膚に当たった時に、私たちの体の大切な情報を記録しているDNAを守ってくれるという役割を担っているのです。

しかしながら過度の紫外線の照射によってこのメラニンを作れ、という命令が不必要な局面で発令されてしまい、皮膚に余分なメラニンが蓄積してしまうとシミになってしまうのです。
もちろんしみの原因は紫外線だけではありませんが、紫外線は最も強力なシミの原因です。

メラニンはなぜ黒いか?

メラニンという名前は「黒い物質」という意味なのでメラニンはなぜ黒いかという質問は本来はおかしいのですが、紫外線から体を守るために、なぜ人体は黒い色素を作り出すのでしょうか? 赤い色素であればしみも赤い斑点で少しは可愛かったかもしれないのに。

これには理由があります。たとえば冬には黒っぽい服を着て白い服はあまり好まれません。この理由は白という色は光を反射するので服を着ていてもあまり暖かくならず、逆に黒い服を着ていると光を吸収して暖かく感じてしまうからです。

このように黒という色は光を吸収する性質を持っています。人体は核というDNAを保存しているところを守るために、ちょうど帽子をかぶるような形で核の上にメラニン顆粒を配置し、そこで紫外線を吸収しDNAをブロックしているのです。

しみを放置するとどうなるか?

悪性のしみでなければ命に別条はありません。しかししみは過去の紫外線照射のバロメーターですから、しみそのものは命に関係がないからと言ってUVケアをおこたれば次々としみやたるみのような光老化が起こるでしょうし、場合によっては今度は本当の悪性腫瘍ができるかもしれません。

ですからしみができないようにUVケアを行うことが最も大切であり、しみはその警告サインと考えたほうがよいと思います。

しみは美白クリームで取れるか?

美白クリームと呼ばれているものには大きく分けて2種類あります。一つは化粧品であり、もう一つは医薬品です。化粧品の中には高機能化粧品と銘打って高価なものがありますが、いくら効果であっても化粧品に含むことが許されている物質には制限があり、皮膚に刺激があるものは含めることが出来ません。

これらの化粧品では正常な皮膚色を白くすることは期待できますが、病的に増殖したメラニンを正常にすることはおそらく無理であろうと考えます。もちろんもしかしたら可能かもしれませんが、しかしそもそも化粧品とは病気を治すものではありません。

一方医薬品とは購入に医師の許可(処方箋)が必要であり、また使用に際しては医師の指示に従うものとされています。これは使用法によっては副作用をきたすリスクがあるものですが、病気を治すことが実験で確認されたものでないと医薬品とは認められません。

当院ではハイドロキノン(当院商品名:ポー クレール アッシュ、通称Hクリーム)とトレチノイン(当院商品名:ポー クレール テー、通称Tクリーム)という成分を配合した美白クリームを製造しておりますが、これらの美白クリームは化粧品とは一線を画した効果があります。

レーザーとは何か?

レーザーとは天然界に存在しない、人類が作り出した光です。自然の光と比べていくつかの違いがありますがその最たるものはレーザーは単一波長であるということでしょう。

波長というのは可視光線(目に見える光)でいえば色にあたります。普通の光は無数の波長の光を含んでいます。ですから雨上がりには条件がそろえば空気中の水滴がプリズム効果を発揮して7色の虹が見えるのです。レーザーは単一波長ですのでもし太陽の光がレーザーであったら虹はできません。

レーザーはX線と違って人体に悪影響を及ぼしません。もちろん直接目に入ると危険ですが、レーザー光のエネルギーが人体に悪影響を及ぼすことはありません。

なぜレーザーでしみがとれるか?

しみの原因であるメラニンは光を非常に吸収しやすいのでしみは光による治療にとてもふさわしいといえます。いくつもの波長の光の中で特にメラニンに吸収の良い波長の光を選択して照射すると、その光はメラニンにとてもよく吸収され、メラニンだけが熱くなり、熱破壊されます。

一方メラニン以外の生体組織はメラニンほどは光を吸収しないので熱破壊するほどは熱くならないのです。この結果、普通の老人性色素斑であれば、通常1回の治療でキズあとを残すことなしにしみだけを消すことができるのです。この場合レーザー光は単一波長ですので、メラニンに吸収しやすい光だけを選択的に照射することができるというわけです。

しみ取りレーザー治療後の経過は?

通常のしみ取りレーザーは照射後軟膏を使用し、その上を肌色の絆創膏で1週間ぐらい隠すのが普通です。当院ではレーザー照射部位に透明のフィルムを貼り、その上からレーザーを照射します。このフィルムはかづき・デザインテープといってテープを貼ったままメイクができる特別なテープです。

レーザー照射して一週間後にテープをはがしてください。通常テープの下に茶色いかさぶたができていてそれがテープをはがすときに一緒にはがれてくるはずです。またかさぶたがはがれたあとはきれいなピンク色の皮膚が出来ていると思います。

しみ取りレーザーの副作用は?

レーザー照射後1週間できれいなピンク色の皮膚になったあと、しばらくすると皮膚がまた徐々に黒くなってくる場合があります。これは炎症後色素沈着といって日本人の場合約半数に認められると言われています。

しかしこれは時間が経つと徐々に薄くなっていくので、取りきれなかったのではないかと再度レーザーを照射する必要はありません。場合によっては先ほどお話した美白クリームのポー クレール H(Hクリーム)やポー クレーム T(Tクリーム)などを併用して治療することがあります。

しみ取りレーザーはどのような方に向いているか?

基本的には単発でしっかりとした色のしみに向いています。色が淡く、多発しているものの場合にはフォトフェイシャルをお勧めします。レーザーの良いところはほとんどのしみが1回で治療できることです。

輪ゴムではじかれるような軽い痛みを感じますが、1cm2のしみを治療するのに必要な時間は数秒です。手軽にしみだけを取りたい方には第一選択の治療法です。

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