ホーム > 診察メニュー > ヘマンジオルシロップ

ヘマンジオルシロップとは

ヘマンジオルシロップ

ヘマンジオルシロップは、いちご状血管腫(乳児血管腫)の治療薬です。

通常は高血圧や狭心症の薬として使用されていますが、これをいちご状血管腫がある乳児に投与すると血管腫が小さくなるということが偶然に発見され、小児用シロップとして薬剤が開発されました。

いちご状血管腫(乳児血管腫)とは

いちご状血血管腫(乳児血管腫)は、生後間もなくから発症するもので、異常な血管が増えてくるものです。

増殖した血管はいずれ小さくなることが多いのですが、それまでに臓器を圧迫したり視野を狭めたり、皮膚潰瘍や瘢痕になる場合があります。そのため大きくなってしまう前に治療を開始し、これを小さくしたり大きくなる勢いを止めることが必要です。

従来は色素レーザーだけが唯一の治療法でしたが、2016年にヘマンジオルシロップという飲み薬が承認されました。

当院での治療の流れ

この薬は基本的にご自宅で使用していただくものですが、初回投与時と増量時(経過中1~2回)は院内で投与し、その後2時間院内で経過を見ることが義務付けられています。

STEP 1

当院でヘマンジオルシロップの適応があるか診断。適応がある場合、小児科へ紹介状をお出しします。

STEP 2

小児科を受診していただき、不整脈や喘息の有無を診察していただきます。

STEP 3

小児科より投与許可が得られたら、お電話でご予約下さい。(予約当日は診察と投与後の経過観察を合わせて、2時間半かかります。)

STEP 4

予約した日に来院されたら、受付に小児科からの返事をお渡しください。血圧や呼吸状態を検査し、医師の診察になります。診察後問題なければ、ヘマンジオルシロップが処方されます。

STEP 5

最寄りの調剤薬局で薬を受け取ったら、再度当院へお戻りいただき、シロップの投与をします。初回は看護師が飲ませ方の指導を行います。

STEP 6

投与後、1時間目と2時間目に看護師が血圧など測定し、問題ないか確認します。最後に医師の診察を受けていただき、終了となります。
次回来院は2週間後になります。

ヘマンジオルシロップの副作用

この薬による副作用には次のようなものがあります。(海外臨床試験での発症率)

  • 血圧低下(0.9%)
  • 徐脈(脈が遅くなること)(0.5%)
  • 低血糖(0.5%)
  • 喘息の悪化(0.2%)
  • 下痢、便秘、食欲減退、嘔吐など(頻度不明)

安全に治療を受けていただくための注意点

  • こぼしたり嘔吐してしまっても、追加投与しない。
  • 空腹時に与えない。
  • 風邪などで医療機関を受診する場合、ヘマンジオルシロップを飲んでいることを担当医に必ず伝えてください。
  • 母乳を挙げている場合、お母様が飲んでいる薬も担当医に必ずお伝えください。
    この飲み薬には飲み合わせがあり、乳児が内服していなくても母親が内服している場合、母乳を介して移行することが考えられます。

こんな時はどうする!?

  • 服用を忘れてしまいました

    • その日の服用は中止し、次の服用まで待ってください。
      服用忘れに気が付いた時点であわてて飲み忘れた分を飲ませたり、次の服用時に量を増やして飲ませたりすることは絶対におやめください。
  • 間違えて、指示された容量より多く服用させてしまった

    • すぐに医師又は薬剤師に相談してください。
  • 食事(ほ乳)ができませんでした

    • その回の服用は中止してください。
      胃の中が空っぽの状態でヘマンジオルシロップを飲ませると、「蒼白、発汗、震え、ぐったりする」などの副作用が現れることがあります。また、次の服用時に、飲めなかった量を増やして飲ませることは絶対にしないでください。
  • おう吐してしまいますが服用させていいですか?

    • その回の服用は中止してください。
      胃の中が空っぽの状態になっているので、Q3と同様、副作用が現れることがあります。
      普通に食事(ほ乳)ができるまでに回復したら、次回からの服用をさいかいすることができます。
  • お薬を吐き出してしまいました

    • 次の服用時まで必ず待ってください。
      お薬を吐き出したり、全部飲めたかわからない時も、追加で飲ませないでください。

ご不明の点はありませんか?

このお薬自体は1966年に日本で発売され現在も広く使用されており(商品名:インデラル)、安全性は確認されています。しかし、小児に対する使用経験がありませんので、使用については必ず医師の指示を守ってください。とくに使用量については、毎回正確に測定して与えてください。
お子さんが口らから出してしまったからと言って、吐き出した量を憶測で再投与するなどは、絶対におやめください。決まりを守ることで、安全に治療を受けていただくことができます。

わからないことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。