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Dr.律の10ステップ美容解説
サーマクールについて

サーマクールとは何か?

ThermaCool

一言でいえば「切らないたるみ治療器」です。あえて付け加えるなら「現時点で最強の切らないたるみ治療器」です。

皮膚を切らないでたるみをとることなど本当にできるのでしょうか? それについて以下で分かりやすく説明します。

すりむいたキズはなぜ治るか?

かるいやけどやすりキズなどは時間が経つと治ってしまいます。これは人間の体には皮膚を再生する能力があるからです。皮膚(厳密には真皮)の主成分はコラーゲンというたんぱく質です。コラーゲンは生まれた時に作られたものが一生そのままなのではなくて絶えず壊されて新しいコラーゲンが作られています。

皮膚に限らず体の組織は必ずこのように「新陳代謝」といって古いものが新しいものに作り替えられていくのですが、皮膚では「線維芽細胞」という細胞が常にコラーゲンをつくっています。

キズができるとこの細胞が刺激され普段よりもたくさんコラーゲンを作り始めるのですりむいて皮膚が傷ついても治ってくれるというわけです。

年を経るとなぜ皮膚がたるむか?

新陳代謝は年齢とともにゆっくりとしてきます。生まれたての赤ん坊の皮膚はぴちぴちしていてたるみなどありませんが、年を経てくると古くなったコラーゲンがなかなか新しいコラーゲンに置き換わらず、古いコラーゲンの占める割合がだんだんと増えてきます。

これはコラーゲンに限ったことではなく、皮膚の他の成分(弾性線維など)も同様です。
ですから年を経た皮膚は、ちょうど古くなったゴムのように、重力に対して自分の重さを支え切れなくなるのでたるんできてしまうのです。

ラジオ波って何?

サーマクールはラジオ波というエネルギーを使用します。これはNHKラジオやTBSラジオというように放送局から出ている「電波」です。すでに我々の体には日常的に無数のラジオ波が突き抜けていますが何も副作用を起こしません。

ラジオ波は放射線や紫外線(これらは天然界に存在し常に我々の体を脅かしているものですが)に比べると無害のエネルギーです。似たような電波にマイクロ波というのがあります。これは電子レンジに使用されている電波です。

電子レンジでものを温められるのと同じように、ラジオ波でもものを温めることができるのです。だからサーマクールで皮膚に熱を与えることができるというわけです。

コラーゲン新生の原理は?

現在切らないたるみ治療器はサーマクールだけではありませんが、その原理はみな同じです。つまり皮膚の表面から何らかの熱エネルギーを加えて、線維芽細胞を刺激し、コラーゲンを作らせるのです。

さらに熱によって刺激された皮膚はコラゲナーゼというコラーゲンを溶かす酵素の働きによって部分的に解体されます。こうして皮膚は新しいコラーゲンの占める割合が多くなり、若さをとり戻すというわけです。

しかし自らの力でコラーゲンを作り始めるのですから、治療終了直後から結果が出るわけではありません。
通常は治療終了後3〜4週間で変化が表れ始め、約半年後がピークであると言われています。

なぜ高周波を使うのか?

皮膚に熱を与える方法はいくつもあります。たとえば赤外線という光は、電気ストーブなどで利用されていますが、光そのものに熱を含む熱線(heat wave)ですので、非常に簡便に熱エネルギーを皮膚に与えることができます。しかし赤外線やレーザーをなどの光の治療では皮膚の表面が一番熱くなり、線維芽細胞がいる真皮になかなか熱を到達させにくいのです。

一方ラジオ波やマイクロ波というような高周波はものを内部から温めることができます。光治療器に比べると高周波治療器は皮膚表面にやけどを起こさず、皮膚の深い所に熱を効率的に伝えることができます。

なぜサーマクールが最強なのか?

高周波(ラジオ波)を使用する治療器もサーマクールだけではありません。しかし他の機種はバイポーラー型といって皮膚に接触させる二つの電極の間で高周波を発生させる仕組みです。

電気(電波も電気です)は最短距離を通る性質があるので、それらの機械では皮膚に接触させた二つの電極の最短距離、すなわち皮膚表面を通過します。この欠点を補うために光を同時に照射して電気抵抗を部分的に変えたり、または皮膚を吸引して盛り上げてやる方法などが考案されています。

一方サーマクールはモノポーラー型といって皮膚に接触させる電極と、体に貼る対極版という二つの電極の間にエネルギーを発生させますのでエネルギーが深く到達するのです。

副作用はないのか?

切らないたるみ治療器に共通するリスクは治療に伴うやけどです。そもそもこれらの治療器は擬似的にやけどのような刺激を与えて人間のキズを治そうとする能力を利用するというものですから設定や条件などでやけどを発症するリスクは否定できません。

しかしながら経験豊富な施設であれば、通常の方法で行う限りやけどを起こすことはまずないと思っていただいて結構です。どんな治療器でも無理をすれば(出力をあげれば)副作用が起きます。治療に際しては医師の判断で出力を決定させていただきます。

この治療に向かない人は?

サーマクールが最強のたるみ治療器であるといっても限界があります。高度のたるみを劇的に改善したい方、すぐに結果を求めたい方、結果に過度の期待をお持ちの方にはお勧めしません。

高度の改善を求められる方にはフェイスリフト手術をお勧めします。あるいはヒアルロン酸注入であればすぐに結果が出ます。

また骨折治療用などの金属が体内に埋入している方、ペースメーカーや除細動器を使用中の方はご利用になれません(歯科金属は大丈夫です)。

サーマクールはどのような方に向いているか?

30代半ばからこれ以上の老化の進行を少しでも予防したい方。40代以上の方で他の人に悟られないように皮膚の若返りを図りたい方。このような方が最もよい適応です。20代の方はもともと皮膚のたるみが少ないので目で見える効果は少ないですが、小顔になる効果があります。

またフェイスリフトなどの外科的治療は劇的な効果がありますが皮膚そのものを若返らせたわけではありません。その点サーマクールでは皮膚そのものの質感を改善し、結果的にタイトニング(引き締め)の効果がえられます。ですからフェイスリフトとサーマクールを併用することも大変よい方法であると思います。

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